2012年7月25日水曜日

いじめの周辺


滋賀県大津市で陰湿ないじめ事件が露呈した。

いじめは絶対あってはならぬ、という錦の御旗の下、
現在、事件関係者は、あらゆる方向からつるしあげを食らっている。背景は承知していないが、事件そのものをもみ消してしまおうとする隠蔽体質がうかがわれ、ここへの批難を発端として、あらゆる燃料が投下され、炎上しているようだ。

しかし、一部報道では、同じ苗字というだけで、全く無関係の人が犯人(の親族)扱いを受け、迷惑をこうむったとの話もあるようで、正当化した感情に任せて、思慮なくヤラかしてしまう不手際さは、とてもいただけない(そのヤリクチ自体がどうかと思うが、いずれにせよ、誤射はいかん、誤射は)。いじめをなくすことより、関係者を糾弾することに、みんな熱心なように見える。

私の小学生時代、S君という同級生がいた。

家は食堂を営んでおり、遊びに行くと厨房にいるお母さんがラーメンを御馳走してくれた(残念ながら、あまり美味しくはなかったような気がする)。お父さんは市議会議員をやっていて、S君はそれを自慢しているような風情があり、露骨にドヤ顔をするときがあった。クラス内でも、変な空気が流れることが時折あり、みんながその言動にイラッとしていた。あのやろう、食堂じゃなかったら、ラーメン食わせてくれなかったら、いつかヤッてやる、という暗黙の了解があった(気がする)。S君にすれば、知らぬが仏だったのだろうし、平和的な日々を送らせてくれたお母さんの優しさはなんと偉大なものか、とも思う。

やがて、S君とは別々の中学に入学し、お父さんが何期目かの当選を果たしたとき、S君がいじめられて?(あるいはいじめて逆上されて?)、小刀で刺された、という噂を聞いた。何があったのか知らないが、ああ、ついに起きたか、と少年心にも感じた。自分の手柄ではないはずの出自を鼻にかけ、いらぬ憎悪の対象になったことは容易に推察できた。刺した加害者が悪いのは当然だが、S君、もうちょっと空気読めよ、との思いのほうが強かった

騒な傷害事件だから、おのずと話が大きくなり、結局加害者は転校させられたようだ。S君側が加害者の謝罪を受け入れず、激怒した父親が教育委員会とかけあって措置されたと、のちに聞いた

S君はいま、どんな生活をしているのだろう?

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