先週の土曜、たまたま大相撲名古屋場所14日目を観ていたのだが、え?と首をかしげる場面に遭遇した。
メディアでも取り上げられているからご存じの方も多いだろうが、横綱白鵬(はくほう)と大関稀勢の里(きせのさと)の一番である。この場所、横綱は13連勝、大関日馬富士(はるまふじ)とトップを並走する形で、賜杯争いは完全にこの2力士に絞られていた(この取組前に日馬富士関は既に14連勝を決めている。)
土俵下に控える横綱はずいぶんと発汗しているように見受けられた。場内は暑いのだろうがライバル日馬富士関はそれほどの汗には見えなかった。
そんなこんなで、結びの一番は、稀勢の里関の気迫が空回りして、立ち合いで2度突っかけた。まさに突進という感じでどうにも間合いが合わない。多少ズレても受けるかと思ったが、ゆっくりすぎて横綱も立てない。イラッとしたのか、頭を下げる大関の胸を軽く小突いた。ざわざわする場内、3度目の仕切り。
・・・ハッケヨイノコッタ。
勝負は、横綱がヒラリと変化して、大関がバッタリ。わずか1秒の相撲。アッという間だった。
以前にも増して、ここ数年来、横綱(の立場)は、品格だの矜持だのを持ち出されて、品行方正を旨とする型を世間に押し込まれてきたが、その線からいうと、この一戦は糾弾されてしかるべき内容ではあった。内館牧子女史がなにほど立腹されているか、伺ってみたいと思ったし、同じことをデーモン小暮閣下にも伺いたいと思った。(やくみつる氏には氏自身の頭髪問題の疑義のみ伺いたい)。
私は輪島、北の湖以来、ときに熱心に、ときに冷めつつ相撲を見てきたが、横綱が格下相手にヒラリとやったのは、記憶にないし、そんなことはルール上ではオーケーでも、情緒が許さないものと思っていた(たとえば、ジャイアント馬場が勝ちを急ぐあまり反則するか?ということだ)。
特に朝青龍関(ヒール)との比較において、白鵬関は断然のベビーフェイスであり、よりよき相撲界へ導いてくれる理想の横綱と思われていた。脊髄反射的な動きであったのだろうが、残念という思いと、ホントか?という戸惑いを受けた。
「人間だもの みつを」と「ノブレスオブリッジ」が天秤にかかる。
結局、賜杯は日馬富士関が手にした。
来場所の横綱の圧倒的な強さに期待したい。
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