知らない人には、まったくわからないハナシであろうが(当たり前だ)、こりずに競馬の話を書く。
競馬の神様と謳われた大川慶次郎氏亡きあと、
競馬予想界において、他の追随を許さぬ唯一無二の存在だった清水成駿(しみずせいしゅん)氏が、先週木曜日67歳で亡くなったことが明らかとなった。
前回のブログにて、永六輔氏、大橋巨泉氏、千代の富士氏の訃報に触れたばかりだが、まさにアップした同時刻頃に、清水氏も亡くなっていたらしい。
他者の死を較べうるものでは決してないが、
俺の基準では、著名な3氏の死より、清水氏逝去の報のほうがショックが大きかった。
とにかく文章が上手いのである。
そして名声に比例せず、メディアへの露出が、極端に少ない人だった。
きっと、漢として線引きがしっかりしていたのだろう。
俺が競馬に目覚めたころ(もう25年以上も前だ)、氏は競馬新聞「1馬(いちうま)」で「本日のスーパーショット」というコラムを執筆していた。以来、10年以上狂ったように毎週「1馬」を買い、コラムを読み、若造は唸っていた。大人になるための指針を与えられたような気になっていた。あるときは理論的であり、あるときは解読不能であり、あるときは競馬を離れた情緒タップリの人生の教科書、哲学書であった。
実家に帰れば、まだ一部のコラムは捨てずに取ってあるはずだ(スクラップしていた時期があった)。「本日のスーパーショット」は、今の俺の予想スタンスや、実生活の立ち振る舞いそのものにも間違いなく影響している。もし無事見つけたら、今後機会をみて触れてみたい。
氏は、1馬を退職後(退職理由は、直木賞や芥川賞を狙い小説家へ転進するため、と1馬に書かれていた。しかし本当の事情は知る由もない)、主に有料会員相手の予想サイトや、東スポの「馬単三国志」、競馬雑誌などで予想や競馬観を披露していた。目にふれる機会は減ってはいたが、あの文体はどの媒体で登載されようが、こちらの心を掴んで離さなかった。後生を残さぬ断じ方にゾクゾクしたものだ。
氏の亡き後の競馬予想界は、いったいどうなるのか?
愛弟子を名乗る予想家は数多いるのだろうが、生前、氏が嫉妬するほどの才能と見込んだ「1馬」の僚紙「競友」の渡辺芳徳氏に俺は期待している。
ナベちゃん、やってくれよ!
なお「1馬」は現在、名称を改め「優馬(ゆうま)」となっている。
しかしオヤジにとっては、激しくしゃらくさい。
今も俺らの会話では「1馬」で十分ハナシがつく。
さよなら、ありがとう、清水成駿さん。
俺にとっても、ひとつの時代が終わった。
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