2015年3月8日日曜日

幼なじみ

私はコメが大好きである。

パンを食べるのは、よほど時間がない際の職場の昼食か、家で腹が減りコメが炊き上がるのを待てないときか、ちまたで美味いとされるパン屋のパンがたまたま家にあったときくらいなもの。麺類も大好きだが、三食オール麺、ってわけにはいかん。やはり主食はコメになる。

しかし、昨日は珍しく
気になるパン屋さんにパンを買いに行ったのだ。

そのパン屋さんは、
マチの中心からほんの少し離れた美術館なんかのあるエリアにあり、手作り感満載のこじんまりとした風情の店らしい、と伝え聞いた。

伝え聞いた、というのもマドロッコしいハナシだが、
もともとの情報源は、私の妹夫婦なのだ。

そして、コメ好きの俺がなにゆえ足を伸ばしたのかと言えば、
これまたマドロッコしい言い方だが、

「兄ちゃん(俺のことね)、その店のオーナーって、兄ちゃんの幼なじみのTさんと同姓同名なんだけど、もしかして本人じゃない?」
と尋ねられたのが発端である。

つまり、パンよりもパンを焼いてる人が目当ての買い出しだったのだ。

ホントにそのパン屋さんが、俺の知っているT君だとすれば、
彼とはいままでも縁のある出会い方をしてきた。

俺と彼の家の商売が同業で、
道東のマチで、2歳頃から8歳頃にかけて同じ長屋アパートに住み、同じ幼稚園、小学校に通った(たしか小2まで)。仲がよかった。

その後、お互い転勤で別れ、以降消息も知らずにいたが、
中2の春に俺が転入した最果てのマチの学校に偶然、彼が座っていた。
アタマのデキも同じくらいで、高校も俺が転校するまでは一緒だった。
そんな、付かず離れずの距離に暮らしたが、その後幾度かの転勤で、また音信不通となり、今に至る。ざらっと計算すると25年は逢っていない。

パン屋は聞いたとおり、風情のある店だった。
コーヒーもあり、奥には喫茶スペースがあるのだという。
商業ベースではない、マチのパン屋さんの風情だ。

感じのいい店員さんの説明を受け、幾つかのパンを買い込んだ。
その店はセルフトング方式(だいたい意味は伝わるよね?)ではなく、八百屋対面販売方式だった。会計後に店員さんに思い切って話を切り出してみた。

話をきき、裏に回った店員さんが、
店のオーナーと思しき男を連れ出してきた。

ひと目でわかった。
まちがいない。T君だった。

おー!とお互い声をあげ、近況報告をした。

積もる話がありすぎて、また買いに来ると約束して店を出た。あたたかい気持ちになった。
T君の焼いたパンは、しみじみと美味かった。

思い返すと、
高校時代、俺にバービーボーイズの良さを教えてくれたのは、T君だったな。

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