職務上で愛用しているカバンの取っ手が壊れたのが、昨年の冬のはじめだった。
しばらくは、だましだまし使用していたが、某飲み会の帰りの段で、女店員に参加者全員のコートとカバンを並べて出されて、
そうね、
字で書くと、ありきたりに「ガーン!!」とショックを受けた。
一体どこの貧乏人のカバンなんだ?
そう。それは俺のカバンだった。
無残な姿を見るにつけ、酔いもあいまって猛烈に恥ずかしくなった。オイオイと泣きたくなった。
カバン君よ、不憫で惨めな思いをさせてスマンかった。
おとうちゃんは、君に二度とこんな思いをさせないからね。
その週末、カバン君を買い求めた街中の専門店に行き、さっそく修理を依頼した。
女店員いわく、このカバンを本州の職人さんに送り、状態を見てもらい、そののちに然るべき修理をするそうだ。期間は概ね3ヶ月かかります、とのこと。
え?3ヶ月?もう一度聞き直しても、やはり3ヶ月。
職人さんが何人いるのか知らんけど、きっとすごい需給バランスなんだろう。その場で修理を依頼し、首を長くして待つことにした。それとそんなに先のハナシなら、きっと忘れちまうだろうから、預り証に記載された電話番号を俺のスマホに登録し、連絡いつでも来い!との体制を整えた。
そして数ヶ月経過した。
忘れかけていた先週、俺のスマホに連絡いつでも来い!番号からの着信があった。
カバンが無事に修理された。いつでも取りに来ていい、とのこと。
で、週末。
家人と街に出て、貯まっていたクレカポイント分で大層豪華な寿司を食い、その足でカバン君に逢いに行った。
新たな取っ手が付き、ピカピカに磨かれて、俺を見上げてカバン君は「ただいま」と誇らしげに言った(気がする)。
0 件のコメント:
コメントを投稿