2015年5月20日水曜日

本屋について

いまや、アマゾンだの、楽天だの、ネットを介して、ある程度の身の回りのモノは、労せず手に入るような時代になった。もよりの店よりも品ぞろえは良いし、下手すれば相当安いし、おまけに配送までしてくれる。

つくづく、便利な世の中になった、と思う。

しかし、俺は偏屈な人間なので、
欲しいものがあるときは、今でも極力マチに出向き、買うようにしている。

インターネットを信用していないわけではないけど(全面的に信用しているわけでもないけど)、できる限り欲しいモノは現物を見てから買いたいし、それが生活ってもんだ、とも思っている。

特に、書籍類。
いっぱい買えば重たいし、難儀もするが、一般的に流通している書籍類は、絶対に書店で手にとって買うべきだ。書店に行き、好みの書籍を見つけ、手に取り、買うか買わぬか頭をめぐらす、このワクワク感を放棄することは、実に勿体ない。これを疎ましく思う人は、ホントの意味での本好きではないと思う。

かつて、
俺にとっての理想の書店は、旭屋書店アルシュ(エイトビル)店だった。

万人受けするかはわからないが、配列、品揃え、照明、流れる空気の具合まで俺の好みにピッタリだった。ここで時間を費やし、書籍を手に取り、そして選び、バカなりに色々なことを考えたものだ。結局、この店で何冊くらいの書籍を買ったのだろう。

学生時代には、旭屋書店、ウインズA館、その隣のパチンコのマルイシ会館が、俺の黄金デルタ地帯だった。

そういえば、マルイシ会館で俺の隣に、故藤田まこと氏が不意に座ったことがあった。なぜだ?と驚いた。真剣に大工の源さんを打っていた。リーチが外れると「アカンがな」と画面をコツンと叩いた。関西弁だった。二歩うしろにはお付きの人が立っていた。まだCR必殺仕事人は世に出ていなかったが、隣に主水がいた。

話は戻るが、
サツエキが新装オープンしたときに、俺の理想郷の旭屋はそっちに引っ越してしまった。好きな佇まいの本屋が消えた。新たな、どこにでもありそうな体裁の旭屋書店なんぞには用はない。落胆は激しく、怒りさえ覚えた。潰れちまえ!と思ったほどだ。

そして現実に、サツエキに出店した旭屋書店は、何の因果か数年後に見事に札幌から撤退した。細かな理由は知らない。まさか俺の呪いだったわけでもあるまい。ただ、俺と同じように苦い気持ちで、アルシュからステラへの移動を見ていた本好きは多かったはずだ。そして、その後の札幌撤退の報に、ほれ見たことか!だから言ったべや!と思った人も沢山いるだろう(言ってないけどさ)。札幌の本好きの同志よ、どうだろうか?こういう人はほかにもいるだろ?

今やアルシュの旧旭屋書店の跡地は大手のパチンコ屋になっている。マルイシ会館も無くなり今ではドラッグストアとカラオケ屋だ。残っているのはウインズA館のみだが、内部の売り場は統合されスカスカだ。

琴似にあった、くすみ書房の跡地もコンビニになった。

時代は過ぎる。

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