夜明け前、一人でゴソゴソ起き出して、居間のテレビにヘッドフォンを挿し込んで、録画していた番組たちを視る。今の季節は夜が長いから、だいたいそれが午前5時前後。それから1時間が俺の時間。
最近の楽しみにとっておいたのは、NHK11月10日放送のSONGSスペシャル。井上陽水と玉置浩二、安全地帯の共演。
1986年に神宮球場で開催された両者が共演した一夜限りのライブ。たしかスターダストランデブーというタイトルだった。
当時の俺は15歳の中3。蒸し暑い夜に部屋を真っ暗にして、みた記憶がある。玉置氏はヒゲボーボーで背伸びしていたし、陽水氏には断然の格上感が漂っていた。安全地帯はその数年前まで陽水氏のバックバンドとして雌伏の頃を過ごしていたが、当日の客層は、ワインレッドの心でヒットを飛ばした彼らをアイドルを見る目線でワーキャー言ってる女子が多かったよう。陽水氏にはアウェーだったろうが安全地帯も分をわきまえて師弟に徹していたように感じた。
俺はテレビの前に座り込み、飲んでいたのはリボンナポリン。氷を入れて薄まった味覚まで思い出す。ただ、生中継だったのかまでは曖昧。放送が夜中過ぎだった記憶があり、あんな時間にライブなんかしないよな?と今は思うが、確かめようはない。
とにかく、そのライブの最後に披露されたのが「夏の終わりのハーモニー」。前フリが長くなったが、今回の番組はそれを陽水氏、玉置氏が31年振りに歌う、との触れ込みだ。
たぶん、厳密に言えば31年の間には二人で歌っていたこともあったろうし、現にタモリ氏を介した番組での、そんな場面をネットで見ることができる。
ちなみに俺が初めて買ったCDの2枚のうちの1枚は、この神宮球場ライブだった。もう1枚はレベッカのタイムだ。
で、今回の感想。
久々にみた陽水氏は妖しさは変わらず、加齢のためか琺瑯のような肌感。声はやや出にくくなっているようだが、年相応と捉えれば納得。玉置氏はいい具合に年齢を重ね大御所となりながらも、陽水氏への緊張感や敬愛が見てとれた。二人とも、すごいなぁ。
それにしても、いい楽曲だ。
個人的に、多感な中坊の頃に巡り合えてよかった。言い表せないが、この楽曲は、俺の何物かの感覚に、ものすごく影響を与えていると思う。そしてこうやって、楽曲自体が当時を思い返せるツールとなっている。
同じ時代を過ごしたことに感謝したい。
まだまだがんばれる気になった。